金融円滑化法[モラトリアム法]のもたらしたもの

あまり知られていないことですが、金融円滑化法の施行前に企業に対して行われた調査では、

 

この法律に反対の企業数が賛成数を上回っていました。

 

またその調査で「この法律が施行された利用するか?」との問いに対しては、圧倒的多数の約3分の2の企業が利用しないと答えていました。

 

政府は、「この法律をつくれば、苦しんでいる企業やローン債務者が喜んで利用するはず。」

 

と思ったのでしょうが利用する側からすると「手を挙げれば自分のところはダメ企業、ダメ債務者だと公言するようなもの」と見えたのでしょう

 

というのはリスケジュールによって当面のピンチを回避するという手法は、

 

この法律が施行される前から普通に行われていたことだからです。

 

ただしそれまでは、リスケジュールのハードルが非常に高く、

 

どのようにして資金繰りや収入状況を直すかという具体的なプランを示して、金融機関を説得する必要がありました

 

ところが円滑化法施行後はそのハードルが形骸化し、

 

マニュアル化したことで形ばかりのチェックで簡単にリスケジュールができるようになりました。

 

すると「とりあえず待ってくれ」的なリスケジュールを依頼してくるケースが増えてきます。

 

この法律が施行されてからというもの、年間の倒産件数が1から2万件減少しました。

 

それを何を意味するかと言えば「本来は倒産してたかもしれない企業が、延命されている」という事実です。

 

ダムが水を溜めるように、市場から退場してたはずの会社がこの法律で生き残ってしまったわけです。

 

それが2013年4月以降次々と苦しくなってきます

 

もちろんこの法律でピンチを脱し、きちんと体質を改善した企業やローン債務者も沢山おられます。

 

その人たちにとってこの法律は不可抗力による破滅から救済してくれた法律でしょう。

 

本来この法律目的はそこにあったのです

 

しかし一方で立て直せる見込みの低い人たちが、延命してしまったのも事実でそれが2013年4月以降の問題の原因となっています。

 

もう一つ、金融円滑化法の問題点として指摘されているのは、

 

「金融機関の隠れ不良債権問題」です。

 

金融円滑化法で救済されている中小企業には、

 

不良債権予備軍が含まれており、

 

これが顕在化すると日本の金融機関が抱えている

 

不良債権比率が目立って増加するのではないかというものです。

 

もしそうなら、日本は近い将来、再び金融危機を迎え恐れがあるということです。

 

その意味でも金融円滑化法の終了後にどんな事が起きるかは注意深く見守る必要があります